Bukhara, Uzbekistan
ブハラ歴史地区再生計画は、ユネスコ世界遺産に指定された地域の中に現代的な都市空間を埋め込む、重層的なプロジェクトである。
waiwaiはこの歴史地区の再生に関するマスタープランの策定を依頼され、2025年9月に開催された第1回ブハラ・ビエンナーレをもってプロジェクトが始動した。
ブハラはその長い歴史の中で、多様な文化的影響によって形づくられた。9〜10世紀のシルクロード交易の繁栄期から絶えることなく、経済、学問、さらには精神的な文脈において、近隣エリアのみならず遠く離れた地域とも結びついてきた。本プロジェクトは、ブハラを再び世界と結び、21世紀の文化交流のプラットフォームとして再生させることを目的としている。
マスタープランにおいては、古地図や写真記録等も含めた調査を通じて、歩行者空間を再定義し、時代によりバラバラになってしまった地盤レベルをつなぎ、素材の使い方を統合し、新たな光環境をつくり上げるといった、様々な方針を策定している。中庭や広場の修復は、ビエンナーレにおけるアートインスタレーションや文化イベントのための場を生み出すことを目的とされている。加えて、ブハラの建築や工芸に古くから用いられてきた素材と技法──煉瓦、石灰岩、漆喰、タイル、粘土、装飾的なテラコッタ──を重視した。たとえば、マゴキ・アットーリー・モスク周辺の舗装には、チョール・バクル廟群で見られる10世紀の舗装文様に似た古レンガを用いている。
このように、地域の建築的・工芸的伝統に根ざした手法は、動的で柔軟な適応を許容する再生計画の可能性を示している。ブハラの再生は、ひとつの完結した計画ではなく、持続しながらも変化し続ける「開かれたプロセス」として構想されている。