Wetland Labのミッションは、各地域の素材を調査、研究することを通じて、建設産業における持続可能性を探ることです。これは、GCC諸国を舞台にポルトランドセメントの生産過程におけるCO2排出量を削減する方法を研究することから始まりました。
コンクリートや鉄の過剰使用により、建設業界は全世界の排出量の10%を占めるほどの二酸化炭素排出の大きな原因となっています。実現可能な解決策の追求を通じて、waiwai research and design agencyは、未来のヴァナキュラー材料とは産業廃棄物ではないかという考えを持っています。
2021年ヴェネツィア・ビエンナーレのUAE館は、「Future Vernacular」に対する私たちのビジョンを示したものです。「現代建築へのアンチテーゼ」 と表現されたこのパビリオンは、酸化マグネシウムを使ったセメント・モジュールで構成された大型構造物のプロトタイプです。このモデュールはUAEの伝統的なサンゴブロックによる家屋へのオマージュであり、Future Vernacularの思想が、過去を否定するのではなくそれをインスピレーションの源として捉える手法の提示となっています。
研究の過程で、アブダビのサブカ(塩田)には鉱物の結合材が含まれており、これをセメント結合材である石灰の代わりに使用することができるのではないかという仮説が立てられました。自然のサブカからの採掘はその稀有な生態系に対して手をいれることになるため、waiwai research and design agencyは、(砂漠性気候の地域に必須な)海水の淡水化事業の過程で発生する産業廃棄物である濃縮塩水に着目しました。ニューヨーク大学アブダビ校との共同研究により、従来のセメント組成に代わるものとして塩水から酸化マグネシウムを抽出するプロセスを構築することとなりました。
Wetland Labは、産業廃棄物の建材へのリサイクル可能性、新たな建築工法の追求が、生態系の劣化の軽減に役立つことを明らかにしています。
EXPERIMENT 1.0:
さまざまな種類のファブリック、水、塩などを用い、温度や室内環境などのパラメーターの操作を通じて、複雑な構造や形を結晶化させる最適な組み合わせの探求。
EXPERIMENT 2.0:
サブカに含まれる鉱物や物質の調査を通した構造物の耐久性の実験。漆喰、砂、塩、粘土などの素材にさまざまな仕上げを試すことにより、素材の美的・科学的な側面を研究。
EXPERIMENT 3.0:
ニューヨーク大学アブダビ校、アメリカ大学シャルジャ校、 東京大学など外部研究機関との協働を開始。この共同研究を通じ、濃縮塩水を利用したポルトランドセメントに匹敵する代替セメントの開発を実現。
引用元:
“The Wetland Lab,” by Lela Sujani, originally published in waiwai’s “The Future Vernacular” brochure (2022)
参考:
Wael Al Awar. Can Industrial Waste Be Our Future Vernacular? – TED