北海道
北海道の地に長く根を張る地元企業による、地域密着型クリニック系テナント、サロン型シェアオフィスおよび宿泊施設、専用住宅の複合施設の計画である。計画地である宮の森は、札幌市の西、北海道開拓にあたり建立された北海道神宮エリアの、文字通り聖なる緑に囲まれた場所であり、札幌の最高級住宅地に該当する。計画は、宮の森の山を背負う山裾、3角形の先端にあたる場所というシンボリックな場所に位置している。そこでクライアントと共に想起された言葉が、「丘」であった。
「丘は中心の象徴である」とは世界中の集落を調査した原広司の言葉である。コミュニティの中心となる1Fの調剤薬局、生活の中心となるクリニック群、かつての北海道の中心を担った企業の歴史、最上階には次世代の札幌の中心となるべき人物が集まるサロンに、さらなる世代が育つ住まい。建築は、その中心の象徴たる丘として、鉱物的で地層状の存在となるべくデザインされた。1層ごとに異なる葺き方をされた金属板の外壁が積み重なる。吹き抜けの階段室は歴史をつなぐギャラリーとして、不整形なボリュームを持つ最上階へとつながっている。