Future Vernacula(r 未来のヴァナキュラー)には、今日 の社会と環境が直面している緊急の問題に対処するための、 地域に根ざした材料とデザインの可能性の探究が含まれて います。数十年にわたる工業生産と持続不可能な生活パターンから生じた地球環境の不均衡を是正する可能性を、未来 のヴァナキュラーを目指すデザインが持つのです。
人間と環境とのつながりについての何世紀にもわたって蓄積された眼差しが、伝統的なヴァナキュラー建築に存在し ます。近代の標準化された建築手法は、高速かつ大規模な作 業を可能にするため、ヴァナキュラー建築を無視し、時代遅 れ、未発達、無用の長物として扱ってきました。人々は、現代の状況におけるヴァナキュラー建築の持つ大きな可能性を 見落としています。生態系を修復し、地域経済を支え、産業プ ロセスの一部として再生される廃棄物を含む地域資源に焦 点を当てるために、それぞれの場所の固有性、環境バランス に注目した新しい手法を見つける必要があります。
UAEの広大なナツメヤシ農園が、新たな道を示してくれま した。waiwaiは現在、ヤシ農園の廃棄物とキノコから抽出し た菌糸体を組み合わせ、伝統的な素材と空間言語をどのように現代の文脈に適応させるかを探っています。例えば、菌糸体は砂や石などの伝統的な建築材料と融合させることが可能です。こういったアプローチによって再生される地域の生態系。それこそが、未来のヴァナキュラーが必要とするものなのです。