UAEのアラビア湾南岸に約320kmにわたって広がるサブカ(アラビア語で「塩原」の意)。塩に覆われた広大な砂漠の中を砂と微生物が織りなす細長い裂け目が蛇行し、その広大な砂原には、結晶化した鉱物が群れをなして輝いている。過去7000年の間に形成された、内陸部と潮間帯(潮の干満により露出と水没を繰り返す場所)の間に位置するこのエリアは、生物多様性を促進させる環境として、地域の生態系が織りなす景観の鍵となるものです。 サブカを含むUAEの湿地帯(Wetland)は現在、人工的な海水の淡水化事業の過程で発生する未処理の塩水がアラビア海に放出されることで、危機にさらされています。しかしながら、この独特な場所に、世界的な温室効果ガス排出に大きく影響している現代の建設材料に対する、解決策のヒントが隠されています。
こういったコンテクストから「未来のヴァナキュラー(”future vernacular”)」への道をどのように作ることができるかという議論を経て、研究プロジェクトとしてWetland Labが発足しました。waiwai research and design agencyのミッションは、各地域の材料を調査、研究し、建設産業における持続可能な解決策を探究することです。これは、GCC諸国においてポルトランドセメントの生産過程におけるCO2排出量を削減する方法を研究することから始まりました。
Wetland Lab においては、UAEに焦点を当て、材料の分析を行い、開発された新しいセメント系材料が建築の形態にどのように反映されるか、未来の建築方法の可能性を探る研究を行っています。