ドバイ, アラブ首長国連邦
民間非営利団体による施設としては湾岸諸国初となる、アートセンターとスカルプチャーパークである。アラブ首長国連邦のドバイ、その旧市街地から南東約6km、住居及び観光地区として新規開発されているジャダフウオーターフロント地区(旧名:カルチャルビレッジ)内の主要文化施設として、ドバイクリークを北側に望む人工島に計画された。
アートセンターは10のギャラリースペース、オープンライブラリー、アーティストレジデンスのためのスタジオ、レストラン、ショップ、イベントスペースなどを含む。パール調に輝く10個の高さの異なるボックスをずらして配置し、コロネードが囲む。7つのコートヤードと各ボックス上部のハイサイドライトが展示室内に自然光をもたらし、クリーク沿いのプロムナードやスカルプチャーパークとは、半外部空間であるコロネードを介してゆるやかに接続し、どの方向にも開かれている。民間による運営だが、ギャラリー鑑賞、ライブラリーの利用、ワークショップへの参加等が全て無料で行われるため、特定の入館口やチケットブースを設置する必要がない。どこからでも入れる構えを持つアートセンターが実現した。
スカルプチャーパークでは、野外アート作品の展示の他に、野外劇場、イベントスペース、キッズプレイエリア等を含み、アートセンターと共に様々なアクティビティに柔軟に対応できる場となる事が求められた。予定されてる将来拡張の際にも連続的に展開しやすい、水面上の波紋が干渉しあっている図像をモチーフとした幾何学を用いて構成した。それぞれのアクティビティが自律的にもあり、かつ同時に干渉しあう。一つの公園のようでもあり、複数の公園の集積として見立てることもできる。
砂漠気候に属するドバイでは、野外空間の夏季の日中利用はあまり見込めない。またドバイでの緑化は、海水を淡水化した灌漑水に頼っているのでその過剰利用は好ましくないと考え、植樹量を限定し、ハードペイブを主体とした計画とした。