日本
高温多湿な気候に対応した伝統的な引戸による風通しの良い建物から、分厚い壁とトリプルガラスの樹脂サッシによる超高気密高断熱な建物へと工法の思想が根本的に変わる中で、表面的な見た目や材料を踏襲するのではなく、本質的な「住まいのふるまい」をデザインし直した。
建物の中で唯一動く部分であり、住まう人の姿が街につながる「窓」に注目し、窓周りで起こるさまざまなふるまいに形を与えることによって、分厚い壁による閉じられた構成を心理的に「ひらく」ことを実現している。窓がデザインの主役になることで、街並みをつくる建築的要素と住人のふるまいとが一体化し、高気密高断熱モデル住宅における人と街との新しい関係を築くことが可能となった。
わたしたちの懐かしい街の風景は、窓や縁側や玄関など、そこに暮らす人々のふるまいがはみ出すことによって作られてきた。人々の住まい方がそれぞれの風景を描き出し、街とつながる、そんな未来の古民家を目指し計画された。
2023年度 Good Design Award 受賞。