北海道
リゾートエリアに近い農地のそばに計画中の集合住宅である。建築の省エネルギー的視点で言えば、ニセコのように厳しい環境を持つエリアにおいて、日本では珍しい人口増加圧力に対応するためには、戸建て住宅より集合住宅を計画していく方が合理的である。問題は、豊かな自然環境と農業によってはぐくまれた小さな家が点在する原風景に、必然的に大きくなっていく建築ボリュームがどうしてもそぐわないこと。本プロジェクトにおいては、この相反するふたつの課題を解決するプロトタイプをデザインすることを念頭に、家の群れ=家群(イエムレ)と名付けた形式を考案した。凸凹を持つ外皮は、外皮面積の効率性を損なわないギリギリのラインを見定めつつ、分節されたひとつひとつのボリュームが、周囲の戸建て別荘や住宅のボリュームを逸脱しないようデザインしている。
同時に、高齢化する世帯を考慮した場合の除雪の手間を回避するためのフラットルーフ(無落雪屋根)を採用しながら、ランダムに軒を出すことで、家としての姿と機能性の双方を満足している。