東京墨田区
東京都墨田区、東武スカイツリーライン曳舟駅前の地域交流拠点。前面に広場を持つ倉庫の 1階を改修し、プレイスメイキングの実践の場(まちの人々と共に使いながらつくる公共空間)として まちのリビング(シェアカフェ、コワーキングスペース)を計画した。
敷地周辺には江戸時代より水路が張り巡らされ、産業やコミュニティを醸成する貴重な社会的共通 資本として機能してきた。都市化によって埋め立てられた現在も尚、コミュニティの分水嶺としてそ の姿を現す。「名所江戸百景 四ツ木通用水引ふね」で歌川広重によって描かれた曳舟川も江戸時 代につくられた水路の1つで、敷地のそばを流れていた。ダイナミックに蛇行した川は浮世絵の小 さな画面に奥行をもたらし、幅狭の川面に浮かぶ小さな船とそれを土手から曳く人々の姿をよりいっそ う粋に魅せている。
そんな曳舟川の見立てとして、屋内外をぐるりと囲うひと連なりの天板を設えた。川の気配を 宿した天板は、あるところではベンチ、あるところでは机、あるところではカウンターとなって多様な 人々の活動を支える。不陸のある地面はそのまま残し、室内外をまたぐように塗装を施した。 広場に面した壁は一部撤去し幅10m高さ2.6mの開口を設けることで、まちに対して大きくひらき、室内と前面広場の一体的に利用が可能になる。ここから、新しいまちづくりの実験が始まる。