ベニス、イタリア
第17回 ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021にて waiwaiのワイルと寺本がキュレーターを務めたアラブ首長国連邦(UAE)館の展示が、国別参加部門の金獅子賞(最高賞)を受賞した。UAE館は、産業廃棄物のブライン(濃縮塩水)を再利用した環境に優しい革新的なセメントを用いた建築プロトタイプを、本展のために撮影されたアーティスト、ファラ・アル・カシミによる写真とともに展示した。
キュレーターチームが共同研究を通して提示したこのプロトタイプは、MgO(酸化マグネシウム)ベースのセメントでできたモジュールを約3000個組み合わせて構成されている。外寸が高さ2.7m、幅7m×5m、内寸が2.5m×5mで、歩行可能な大きさの内部空間を持つことを実現した。Mgoセメントの新しい調合方法及びモジュール、空間形状は、ニューヨーク大学アブダビ校のアンバー・ラボ(AMBER Lab)、アメリカン大学シャルジャ校、東京大学の佐藤淳研究室および小渕祐介研究室と協働して開発された。高度なデジタルエンジニアリングを用いた、「フューチャー・ヴァナキュラー」(ヴァナキュラー建築とは、その⼟地の気候や⾵⼟に合った⼟着的な建築のこと)というコンセプトに基づいた建築プロトタイプの構想である。 UAEの「塩原」に着想を得た代替セメントを使った展示が「職人技と先進技術を組み合わせ、浪費と生産の関係をグローバルとローカルの両面で考えさせた」と審査員の高い評価を受けた。
コミッショナー: Salama Bint Hamdan Al Nahyan Foundation
協力: UAE Ministry of Culture and Youth
キュレーター:Wael Al Awar、寺本健一
展示:waiwai, New York University – Abu Dhabi (Amber Lab), 東京大学佐藤淳研究室、東京大学小渕祐介研究室、American University of Sharjah (Dept. of Biology, Chemistry and Environmental Sciences), Farah Al Qasimi